『地産地消』で「ご縁」のある方を幸せに~「食」は無限の可能性

―まず、御社はどのような会社か教えていただけますか。

今年で創業68年になります。創業当時は、乾物や野菜などの食料品を販売するお店でした。「必要なものがあれば、夜中でも雨戸をたたいてください」と、何でも屋さんのような気持ちで、祖父、松野定義が始めました。創業当時の理念は今も変わらず受け継いでいて、スーパーマーケットという形で、「ご縁」のある方を幸せにすることが、まつのの仕事だと考えています。ご縁のある方とは、「お客さま」、「お取引先さま」、「働く仲間」、「ご縁のある方のご家族」のことです。
具体的に行動していることとしては、「宮崎の地産地消」。宮崎の生産者の方たちにとって、うちの店が必要だと思ってもらいたい。お客さまにとっても、宮崎の生産者の方が丹精込めて作られた商品を、ただ安いからということではなく、その価値を伝えていきたいと行動しています。
食は「文化」だと考えています。おじいちゃんおばあちゃんから、お父さんお母さんが受け継ぎ、子供たち、孫たちへ豊かな食文化を伝えていく。消費者の皆さんに共感を持ってもらえるような提案や、店作りをして、地域に持続可能な循環が生まれるようにしていきたいです。

―数あるスーパーマーケットがある中で、「まつのらしさ」とはなんでしょうか。

弊社は、「地産地消」をテーマに、地元である宮崎を元気にすることができるスーパーマーケットになるために、どうしたら良いかを考え、各部門で宮崎産の食材を優先して仕入れて、さらに宮崎産に特化した、地産地消のコーナーを設けてきました。
また、地産地消のコーナーの中には、野菜や果物だけではなく、宮崎の人たちが作った加工品やお弁当、自慢のお惣菜も扱わせてもらっています。大手の企業さんでだけではなく、個人事業主の方や飲食店さんが、「有名でなくても美味しいから置いてください」という思いで、いわゆる「道の駅」的なものをお店の中に作って、お客さまに提供しています。

「地産地消」コーナー

「地産地消」コーナー

―地方の可能性をどのように考えていますか。

地域には地域の「食文化」があり、住んでいる人には当たり前に思うけれど、これがあって良かった、住んでいて良かったと思うことがあります。どこかへ行って、美味しいものを食べて、また行きたいなと思う「旅愁」。ふるさとの味が懐かしく思い出される「郷愁」。「食」は、すごい可能性を持っていると感じています。一度宮崎を離れても、戻ってきたいと思えるような、また、移住したいと思ってもらえる宮崎にしていけると考えています。
コロナ禍で、リモートで仕事ができる環境が進んでいますので、そういう方たちにとっても宮崎が移住したい目的地になってほしいです。地方にとって人口が増えるというのは、食文化の継承や発展にとって良いことですし、新しいエッセンスを加えられるきっかけにもなると考えています。そのためにも色々な人の意見が必要です。色々なアイデアもいただける。いくらでも招けるというポテンシャルはありますので、密を避けて生活できる地方にぜひ。そういう未来を期待しているし、そういう街作り、地域作りをしていきたいです。

左)インタビュアー 牛島奈津子

左)インタビュアー 牛島奈津子

―駅前に新しい店舗がオープンしましたが、今あるお店とテイストが違いますよね。

地産地消の「土の匂いがする」コンセプトを駅前の環境で表現するために、日常の中に非日常を感じられるような空間作りを大切にしました。土の香りを感じてもらえるような木目と、オシャレさを体感してもらう意味でのガラスを広く使ってデザインしています。宮崎の産物を床から天井までいっぱいの揃えながらも居心地の良い空間。宮崎の人たちにとっても、県外から来る人たちにとっても、食の情報、文化を発信できる場所を意識しました。
「宮崎ガストロノミー」(=食と文化の考察)というサブテーマのもと、台所と食卓が笑顔でつながって、ご縁のある人たちが幸せになっていく。楽しく料理する人と美味しく食べる人、そしてその食材を作る人たちがつながっていけるようなお店にしていきたいと考えています。

スーパーまつの アミュプラザみやざき店

スーパーまつの アミュプラザみやざき店

―御社でCSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)について、何か取り組んでいることはありますか。

地産地消の活動が結果的に「CSR」になると考えています。「SDGs」とは一致する点が多く、貧困を失くそうとか、子供が継ぎたいと思える一次産業であってもらいたいというのは、「SDGs」につながると考えています。
仕入れ続けること。色々な無茶をお願いして聞いてもらって、長い年月をかけて構築してきたご縁を大切にしていくために、簡単に価格だけでお取引先を変えるということはしない。浮気をしないという姿勢を大切にしています。

―社長にとって広報・PRとはどのようなものですか。

「ご縁」が広がるきっかけだと思います。ご縁がある人を幸せにすることが弊社の仕事なので、そのご縁が増えるというのは大切なことだと考えています。

株式会社まつの 松野圭太取締役社長

株式会社まつの 松野圭太取締役社長

―サービスや商品を世の中に広めるために、具体的にどのようにPRを行っていますか。

チラシを週に1回作っています。新聞折込だけでなく、ポスティングも行っています。また、告知などもWEBで積極的に発信しています。HPに掲載して、たくさんの方に見ていただいています。また、ラジオと提携し、CMも流しています。最近は、SNS(インスタグラムとフェイスブック)も始めました。
駅前の新しい店舗で売れる商品を既存店に持って行って販売する、ということをやったり、商品部が新しい商品を次々に作ったりもしています。
毎日店頭に出す定番商品と、数日おきに出す商品があります。飽きられるから毎日は出さないなど、しっかりと計画することによって、売れ方が変わってきたりします。売れ筋などの状況を分析することも大切にしています。

―経営者として、広報・PRに期待することはどういったことでしょうか。

お客さまにも、お取引先さまにとっても有益な情報を発信することだと考えています。一方的な主張ではなく、相手さまにとって、必要な情報を提供できるか。お買い物に行きたいと思ってもらえるお店として表現できるか。もしくは、あそこの会社と取引したいと思ってもらえるかが大事だと思っています。相手さまの目線にどう映れるかというのがすごく気になるところです。

「地産地消」コーナー

「地産地消」コーナー

―どのような商品・サービスを世の中に認知してもらいたいですか。

生産者の方たちが笑顔で仕事を続けてもらえているので、商品が加工できるし、宮崎の食文化を守っていけます。お客さまが商品を評価してくれて、生産者の方がまた作り続けられる。そういった循環を止めないためのつなぐ役割がスーパーマーケットにはあると思います。地域の生産者さんたちの商品を買っていただけることが未来への選択肢となり、文化をつないで、また発展していける、そのように考えています。

スーパーまつの 恒久店

スーパーまつの 恒久店

インタビュアー「取材後記」

左)インタビュアー牛島奈津子

左)インタビュアー牛島奈津子

日常生活に欠かせないスーパーマーケット。インタビューの中で、松野社長は何度も「ご縁」という言葉を口にしていました。お客さまだけでなく、お取引先さま、働く仲間など、ご縁のある皆が幸せでないと意味がないと。食は「文化」という考えも印象的でした。ただ買う、ただ食べるのではなく、生産者の方が熱い思いを持って届けてくれている商品をしっかりと選ぶことが、私たち消費者にとっても大切なんだと感じました。
創業当時の思いを大切にしながら、これからの食文化の発展のため、地域づくりのために新しいことにも挑戦していく「株式会社まつの」の思いに触れ、地域の皆さんから愛されている理由が改めてわかりました。

今回のインタビュイー「社長プロフィール」

株式会社まつの 取締役社長 松野圭太

株式会社まつの
取締役社長 松野圭太

1977年生まれ。宮崎市出身。海外のスーパーマーケット巡りが趣味で、アパートを借りて、現地の食材を調達し、自炊。色々な土地の人たちの食生活を体験したりしました。
宮崎大学卒業後、1年ほど大学の研究室と飲食店でのアルバイトを経て、2002年に株式会社まつのに入社。海産部で魚をさばいたり、パック詰め、値付けをしたりするなど、一から学びました。惣菜部に異動後、バイヤー職も経験。日配部門でもバイヤー職の経験を経て、商品部をまとめる商品部長に。
2020年8月に取締役社長に就任。ふぐ処理師の免許も取得していて、現在でも超繁忙日には、寿司や海産部などで腕を振るうことも。
3児の父。小学校のPTA会長を務めたり、地元の消防団に所属したり、食育活動に参加したりするなど、地域に密着した活動にも積極的に取り組んでいます。

今回の女子アナインタビュアー

女子アナメディアプロモーション部 牛島奈津子

女子アナメディアプロモーション部 牛島奈津子
(女子アナ47 元NHK長崎放送局、サガテレビ)

大学卒業後、NHK長崎放送局に入局。主に夕方のニュース番組を担当。その後、サガテレビで記者も兼任し、現場に出かけ、取材し、原稿を書き、ニュースと伝えるという一連の流れを経験しました。
北は北海道から南は宮崎まで、色々な土地に住み、素晴らしい出会いを繰り返しながら、地域の魅力を発見、発掘しています。現在は、宮崎県在住で、地元のラジオ局、宮崎サンシャインFMの朝の生放送番組「from MORNINR」を担当。コマーシャルやイベントのMCなども務めています。3児の母で、子育て奮闘中です。